大判例

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高松高等裁判所 昭和31年(う)381号 判決

原審第二回公判調書の記載によると検察官は起訴状記載の訴因第二の別表中第一五は削除されたいと起訴状訂正の申立を為し、被告人及び弁護人はこれに異議なき旨述べ、裁判官はこれを許可した旨の記載があるのである。然るところ本来右一覧表の一欄一欄の記載はそれぞれ一個の公訴事実を構成して居るのであるから名を訂正に藉りて濫りに抹消することは許されず、若し審判の対象から取り除こうとするならば公訴取消の方法によらなければならないので、右一五項の抹消は一見公訴の取消があつたものと解すべきであるかのようにも見えるのであるが、本件起訴状記載の第二事実を見るに「第二別表の通り昭和三十一年四月二十六日頃東京都北区王子町渡辺幸之助外十三名方より右代金合計一万八千二百円を集金しその都度集金先においてほしいままに自己のものとして着服横領したものである」と記載されていて、着服横領は十四名から集金した金員であることを明らかにしていると同時にその横領金額の合計高は一万八千二百円であるとしているのである。而して一方右一覧表の記載も横領金の合計額が一万八千二百円となり居り且つ一覧表の一乃至一四の合計がこれに合致する一万八千二百円なのであつて、若し最後の欄即ち一五項の金額をこれに加算すると合計額が一万九千五百円となり右合計欄の記載と異つて来るのである。かような起訴状第二事実の記載並にその一覧表の記載から判断すると、検察官が起訴した事実は被告人が一覧表記載の一乃至一四に該当する渡辺幸之助外十三名より合計金一万八千二百円を集金してその都度これを着服横領したという事実であると認められ、一覧表一五項の記載は全く起訴事実と何等関係のない余分の事柄が過つて記載されたものと認められるので、右一五項の記載を抹消することは必ずしも公訴の取消があつたものと見なければならないものではなく、原審が起訴状の訂正として措置したことに違法はない。

(裁判長判事 坂本徹章 判事 塩田宇三郎 判事 渡辺進)

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